SN式浄化槽汚泥濃縮車
特長
- 脱水車と比較して機械類が少ない
- ○操作が容易
- ○メンテナンスが容易
- ○故障が少ない
- 分離水を浄化槽の張り水としてリサイクルができる
- 車がコンパクトで4tバキュームと同等の大きさである
- 1種類の凝集剤で全バッキ方式から小型合併浄化槽まで処理が出来る
- 汚泥の含水量が96~97%前後の為、従来の処理場への搬入が可能
開発の経緯
近年、下水道の普及に伴い、浄化槽汚泥は減少するかと思われていましたが、海洋投棄全廃(ロンドン条約による)や小型合併浄化槽の普及に伴い、浄化槽汚泥の処理問題がクローズアップされている中で、汚水処理場の処理能力にも限界があり、減量化が望まれています。浄化槽清掃作業のスピードアップを図り、浄化槽汚泥の濃縮、減量化、さらに分離液を浄化槽の張り水として再利用出来る、浄化槽汚泥濃縮車は水資源を大切にし、環境問題に貢献できる車輌です。
導入目的
環境問題やリサイクルが注目される現在、今までの浄化槽清掃は、バキューム車にて、全量を引き抜きその後、張り水をして終了と、とても単純で、誰にでも出来る作業でしたが、汚泥濃縮車を導入することにより引き抜いた浄化槽汚泥を、タンク内で、高分子凝集剤と反応させ圧力で、濃縮汚泥と分離液に分ける水処理という作業も加わることで、清掃業者の感覚から水処理業者が、浄化槽の清掃をし、そして水のリサイクルまで行うことによって、従来の清掃業者のイメージを向上させると共に環境問題に貢献している業者であるという誇りが持てる。
汚泥濃縮車とバキューム車との清掃作業比較
Ⅰ.人槽別水道水張り時間及び業務必要車数
従来の清掃作業時間は、汚泥の引抜き時間と水張り時間の合計したものといえる。
水張りは清掃業者(作業従事者)が自ら行う義務がある(清掃料金に含まれている)。
また、水張り後(水道水止め)の清掃確認(SS浮上等:特にコンパクトタイプは必ず実施)
バキューム車が同行せねばならない(SSがあった場合引抜く)。
7/29 青年部実務担当者勉強会(教育センター久川先生)
水道給水栓からの水量は1m3/時程度であり、人槽(汚泥引抜き量)別の水張り時間は下記の表のとおりとなる。
人槽 | 5人槽 | 7人槽 | 10人槽 |
---|---|---|---|
最低清掃量(最低汚泥引抜き量) | 2.5m3 | 2.9m3 | 4.0m3 |
水張り必要時間 | 125~83分 | 145~96分 | 200~133分 |
小型合併処理浄化槽の清掃作業に用いられるバキューム車は、4t車が多用されている。また、1人/1車作業が一般的である。
※ 濃縮車は、濃縮車/1人・汚泥運搬車/1人がペアー(2人1組)
人槽 | 5人槽 | 7人槽 | 10人槽 | 濃縮車 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
張り水用途 | 持参 | 客水道 | 持参 | 客水道 | 持参 | 客水道 | リサイクル水 |
清掃用車数 [車(人)] |
1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 |
水張り用車数 [車(人)] |
1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 |
計 [車(人)] |
2 | 1 | 2 | 1 | 3 | 2 | 3 |
Ⅱ.人槽別の清掃時間の比較について
清掃作業時間比較(5人槽の場合)
※ 濃縮車の運搬移動時間は、処理場への運搬及び移動の延べ時間を投入回数移動回数で除した時間
Ⅲ.清掃後の汚泥量
人槽 | 5人槽 | 7人槽 | 10人槽 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
使用車種 | バキューム車 | 濃縮車 | バキューム車 | 濃縮車 | バキューム車 | 濃縮車 |
汚泥量 | 2.5m3 | 0.6~0.3m3 | 2.5m3 | 0.7~0.4m3 | 2.5m3 | 1.0~0.5m3 |
Ⅳ.1日の業務作業件数(現状)及び処理場投入必要回数
人槽 | 5人槽 | 7人槽 | 10人槽 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
使用車種 | バキューム車 | 濃縮車 | バキューム車 | 濃縮車 | バキューム車 | 濃縮車 |
業務軒数 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
投入回数 | 6 | 6 | 6 | 1~2 | 6 | 1~2 |
Ⅴ.凝集剤費/基
人槽 | 5人槽 | 7人槽 | 10人槽 |
---|---|---|---|
凝集剤費 | 25~150円 (5~30リットル) |
50~150円 (10~30リットル) |
75~175円 (15~35リットル) |
Ⅵ.清掃作業方法
1.従来の清掃作業方法
- バキューム車にて汚泥引抜き
- 水張り(客先水道の場合、水止め時間調整)
- 清掃業務完了確認
- 処理場へ運搬投入
処理場にて水張り用水、給水 - 次の業務先へ移動
- (客先水道の場合、水道水止め、清掃業務完了確認)
繰り返し
2.濃縮車の清掃作業
- スカムのみ搬送車(バキューム車)にて引抜き
- 中間水を濃縮車にて引抜き
- 底部堆積汚泥を搬送車にて引抜き
- 槽内洗浄水を濃縮車にて引抜き
- 濃縮車にて引抜いた汚泥を凝集剤と撹拌反応
- 減圧浮上分離
- リサイクル水(分離水)を張り水として移送
- 清掃業務完了確認
- 濃縮(凝集)汚泥を搬送車へ移送
- 次の業務先へ移動
搬送車はタンクが満タンになった時点で処理場へ運搬
繰り返し
Ⅶ.従来の清掃作業との比較
従来の清掃作業は水張り業務及び水張り後の槽内確認までが伴い、客先水道水では水張り時間を多く必要とし、その間浄化槽から目を離すこととなると、幼児・子供・老人などの人の落下等の危険を伴うので十分な注意が必要であり、さらに、一部地域では浄化槽の水張りに客先水道水を用いることができずに張り水を持参せねばならず、バキューム車とは別に水張り用車種(1車1人)が必要であり設備・人件費を倍投資する必要がある。
また、汚泥引抜き車はタンク内が満タンになればし尿処理場へ投入のために運搬しなければならず、ならびに張り水持参では処理場へ張り水を給水に行かねばならないことから、1日の作業時間に占める移動時間の割合が大きいといえる。近年、交通渋滞の影響を受ける場合もあることから、濃縮車の場合には、搬送車(最終は濃縮車でも可)が満タンになる(5~6軒分)まで、近くの場所で処理を行うことができるため、また、水張り後の確認でも即時濃縮車にて行え作業効率を向上させることができる。業種剤の費用増についても作業効率から考えても無視できる金額といえる。