主催者の主張
提言
全国環境整備事業協同組合連合会
会長 玉川福和
平成23年3月11日に発生した巨大地震は、東北から関東に至る広範囲で、未曾有の被害をもたらした。
過去の阪神大震災・新潟地震の際にも弱点が指摘された下水道は、仙台市で70万人が利用していた南蒲生浄化センター(日平均処理量24万m3)が津波により壊滅した。復旧に2年から3年という長期に亘ることがわかった。
下水道建設費の70%~80%が下水道管路費である。
現在までに、全国に布設された下水道管路長は40万kmで、地球を10周する膨大な距離に達している。
乱暴に耐用年数を40年としても、毎年1万kmを更新することになり、再工事費は恒常的に1兆円に達することになる。
一度始めた下水道事業は、無限連鎖で自治体財政を苦しめ続け、人口減少と共に財政破綻のシナリオを突き進むことになる。
過去の下水道整備により、一級河川などの水質が大きく改善された。
他方、生活排水の全てが下水道に流入することにより、地域の水路や小河川は渇水を招き、小魚を捕り水と戯れる子供たちが遊ぶ姿は消え去り、結果として、局所の雨に保水能力のない現象が見受けられるようになった。
復興都市計画における生活排水処理対策は、旧来型のお金をかけることに意味があった時代から、分権による持続できる社会づくりを進めるには、下水道のように集合処理ではなく、被災しても1箇所の被害が周辺に影響を及ぼすことがない分散独立している浄化槽を選択する政治風土の醸成が必要である。