主催者の主張
分岐点
全国環境整備事業協同組合連合会会長 玉川福和
戦後初めて、衆議院選挙において政権が交代した。
旧来の政権は長い間、税収より予算が2倍ほど多く、結果として国・地方の借金は1,000兆円を越え、後戻りできるかどうかの分岐点に来ているのに、自ら舵を切ることの出来ない脆弱な体質となってしまっていた。
2009年度の国債発行額は、国税収入より多いという戦後初めての事態となった。
地方分権の目的は財政の再建にある。
民主党は、マニフェストに具体策として「ひもつき補助金」を廃止し、地方が自由に使える「一括交付金」とするとした。
全国の地方自治体の特別会計残高は、10年間で7兆2,900億円増加し、うち下水道債の増加は6兆1,000億円で特別会計の84%であった。
下水道料金不足の9兆円を下水道債に加えると、15兆円を超え、特別会計の93%になる。
平成3年、現行の下水道法の運用に係る国交省と環境省の合意により、補助金で設置された浄化槽であっても「下水道の処理区域において、合併処理浄化槽は遅滞なく下水道に接続されるものであること」としたため、下水道事業は合理的な工夫ができない硬直したものとなっている。
今後の地方自治体は、健全化判断比率に縛られ、一括交付金の中でやり繰りすることになることを考えると、民主党政策集にある「下水道整備が各自治体の大きな負担要因になっているとの認識に立ち、硬直的な接続義務を見直す」速やかな法改正が必須の条件である。
地方自治体は、明治以来続いた中央集権体制から地域主権国家への転換に遭遇していることを、誰よりも認識し、思考の切り替えを速やかにする必要がある。