2010年 年頭所感
利害関係者として提言
理事長 玉川福和
戦後初めて衆議院選挙において政権が交代した。
従来の財政運営を続けると、数年で借金の総額は1,500兆円を超え、2年物利付国債の表面利率が年1%となった時は、国税収入が40兆円で元利償還が40兆円を超えることは予測できる。
つまり、現時点を後戻りできるかどうかの分岐点であると考える必要がある。
仙谷由人大臣が担当する「行政刷新会議」が新機軸の行政の仕分け作業を行った。
民主党に批判的な人からは、人民裁判、公開処刑、1時間では拙速過ぎるなど、取るに足らない言い分があったが、民主党でなければできなかった象徴的なものとなった。全国環整連に大きく関係する下水道事業は、5,188億円の事業費を地方自治体が自由に使える一括交付金とした。大きな変化と言える。
地方分権の目的は財政再建にある。
平成18年度全国の地方自治体の特別会計残高は、10年間で7兆2,900億円増加し、うち下水道債の増加は6兆1,000億円で、特別会計の84%であった。
下水道料金不足の9兆円を下水道債に加えると、15兆円を超え特別会計の93%になる。
平成3年、現行の下水道法の運用に係る国交省と環境省の合意により、補助金で設置された浄化槽であっても「下水道の処理区域において、合併処理浄化槽は遅滞なく下水道に接続されるものであること」としたため、下水道事業は合理的な工夫ができない硬直したものとなっている。
今後の地方自治体は、健全化判断比率に縛られ、一括交付金の中でやり繰りすることになることを考えると、民主党政策集にある「下水道整備が各自治体の大きな負担要因になっているとの認識に立ち、硬直的な接続義務を見直す」速やかな法改正が必須の条件である。
業界は、明治以来続いた中央集権体制から地域主権国家への転換に遭遇していることを誰よりも認識し、思考の切り替えを速やかにする必要がある。